【最新アメリカ映画・テレビ事情】第九回
[2007-12-04]
「フロリダ エヴァーグレイズ国立公園でワニとラブラブ」
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プロフィール:
こんにちは! フロリダ在住の映像翻訳者、荒木小織と申します。
5年前にアメリカ人の夫と結婚し、移住しました。現在も日本の制作会社と仕事を続けています。
これからしばらくこちらのサイトに、アメリカの最新映画・テレビ事情をお届けしていくことなりました。
翻訳者として、業界全体の動向なども時々交えながら、皆さんに情報をお伝えできれば、と思います。
是非読んでくださいね!
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こんにちは! 今月もアメリカから最新エンタメ情報をお届けします!
今のアメリカエンタメ界の最大の話題は、大作映画でもスターのゴシップでもなく……、脚本家たちのストライキ!
脚本家組合が待遇改善を求めてストをしてます。争点はDVDによる利益の分配について。「もっとよこせ!」ってことですね《笑》。でも組合を通じ、脚本家たちの健康保険や年金制度を維持するには必要だ!と、みんな頑張って闘っているようです。
11月の頭から始まっていて、もうひと月近く。長引くと、人気シリーズなどの新エピソードの撮影が出来ず、放送中止になる可能性もあり、日本での放送にも影響するかも知れません。
今のところ、プライムタイム系のシリーズ物は、撮りダメしている分があるので普通に放送されていますが、既に被害が出ている分野も。というのはいわゆる「トークショー」と呼ばれるやつです。
アメリカでは、日中3~5時辺りや、夜の11時ぐらいから(地域によって違いますけど)「トークショー」と呼ばれる人気番組が幾つかあります。どれも平日に帯でやってるのが特徴。私がよく見るのは、深夜のトークショー"Tonight Show"。
ジェイ・レノというコメディアンが司会で、いろんなおもしろコーナーをやった後、その週に映画公開するスターが毎日入れ替わり立ち替わりやって来てインタビューを受け、映画の宣伝をするって番組です。
その「おもしろコーナー」のところで、脚本家たちが毎日のニュースなどに絡めたギャグを書いたり(日本で言えば構成作家ですね)するのですが、スト中なので今は全部昔に放送したものを再放送してます。
1日の仕事を終えた私が、ゲラゲラ笑って脳を休め、リラックスするための大事な"Tonight Show"なのに! …と私の被害はさておき、映画会社にとってはトークショーはかなり大きな宣伝媒体なので大被害を被ってることでしょう。
あと、夕方の奥様向け超有名トークショーは「オプラ・ウィンフリー・ショー」。映像翻訳者なら、もしくは映画好きの人なら、オプラ・ウィンフリーという名前、1度か2度は聞いたことあるんじゃないでしょうか?
オプラは時に女優、時に映画プロデューサーと何でもする人ですが、メインの活動はこのトークショーの司会です。アメリカ、ショービズ界では超ビッグな大物ですが、主婦の間では、もう、もう、もう超絶大な人気を誇ってます。
こちらはおもしろトークの代わりに、女性や家庭の問題などを会場の観客と一緒にシリアスに話し合い、あとはセレブ・ゲストが出てきてオプラがインタビューするというものです。
トム・クルーズがケイティ・ホームズと結婚する前、ソファーの上に飛び乗ってハシャギ回った、って例の悪名高い事件も、このショーでのことでした。
オプラはいろんなスーパー・セレブと仲良しだし、「アメリカで一番お金持ちで権力がある黒人女性」と言われています。敢えて日本でたとえると黒柳徹子さんみたいなポジションだけど、百倍お金持ちで、百倍パワフル、って感じです。
オプラの去年だか今年だかの収入はなんと驚きの…、250億円以上!! しかも1年で…。
この番組は長年続く長寿番組。毎年そんなに稼いでたら、どうやって使えばいいの?? 使い切れないぃぃぃぃ~~! …ってそんな心配は無用でした。
そんな風にお金が有り余ってるので、オプラは南アフリカで貧しいけど向上心のある少女たちを集め、アフリカの女性指導者層を育てるための学校を開きました。数億円かかったそうです。
お金を出すだけでなく、自ら直接運営に関わっていて、黒人や女性の地位向上のため本当に献身的に活動しています。素晴らしいっ! そこが人気の理由の1つかと。
そんなオプラがプロデューサーを務め、デンゼル・ワシントンが監督主演した"The Great Debaters"が、こちらではクリスマスに公開されます。「ラストキング・オブ・スコットランド」でアカデミー賞を受賞したフォレスト・ウィテカーも出演(「ラストキング~」、鬼気迫る熱演でしたよねぇ、本当。)、既にアカデミー賞有力候補と言われてる作品です。
1930年代に、デンゼル演じる黒人教授が黒人生徒からなるディベート・チームを率いてハーバードのチームと競う、という実話に基づく物語です。もう見る前から感動間違いなし。デンゼル、「アメリカン・ギャングスター」に続き、オスカーでのダブル・ノミネートとか狙っちゃうんでしょうか? 賞レースの方もちょっと楽しみですね。
というわけで早くストライキ終わるといいですが。日本では師走になり、翻訳者の皆さん、年末進行で忙しいことかと思いますが、体を壊さないように頑張りましょうね~。翻訳者、体力勝負ですから! いや、本当。体にはくれぐれも気をつけて。忘年会の飲み過ぎにも《笑》。
ではまた次回をお楽しみに!(次回は新年だ! Time flies. ですねぇ、しみじみ。)