【最新アメリカ映画・テレビ事情】第三回

[2007-06-05]

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「フロリダ エヴァーグレイズ国立公園でワニとラブラブ」

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プロフィール:
こんにちは! フロリダ在住の映像翻訳者、荒木小織と申します。
5年前にアメリカ人の夫と結婚し、移住しました。現在も日本の制作会社と仕事を続けています。
これからしばらくこちらのサイトに、アメリカの最新映画・テレビ事情をお届けしていくことなりました。
翻訳者として、業界全体の動向なども時々交えながら、皆さんに情報をお伝えできれば、と思います。
是非読んでくださいね!
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第三回 終盤を迎えるドラマシリーズ

さてさて皆さん、またアメリカからの最新エンタメ情報をお届けします。
アメリカでの夏休みも近づき、超大作映画もいろいろ公開されてますが、今回はテレビネタで。人気シリーズのシーズン最終話のお話です。(軽くネタバレ、というか「ネタフリ」あり、なので、「やめてっっ!先の内容はほんの少しでも教えないでっ!」という方は読まないで下さいね。でも詳しい内容は明かしてませんよ!)

5月はアメリカでは、テレビのシリーズ番組が終わる時期。シーズン終盤の視聴率でテレビ局の次シーズンの広告料が決まるので、各番組、工夫を凝らして盛り上げてきます。去年は、相変わらずのヒット番組「CSI」がタランティーノを監督に迎えたり、別の番組では現金プレゼント!など奇策が色々あったんですけど、今年は大抵オーソドックスに、ドラマの本質で勝負してました。

まずは相変わらず人気の「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」と「デスパレートな妻たち」。こういうアンサンブル・キャストものは、シリーズが長くなるにつれ、キャストが全員お互いに「関係」を持ち、「みんな、きょうだい」状態になってシラけちゃうんですけど《笑》(懐かしの「ビバヒル」とかね。)、この2作は、新キャストを随時追加して、その愚を何とか回避してます。つまりまだまだ楽しめるって事。どっちも最終話は日本のドラマにもよくある「結婚式終わり」でありつつ、かなりひねりが効いてました。誰の結婚かは、放送時のお楽しみ☆

更に「グレイズ~」からは、アディソンをメインとしたスピンオフ"Private
Practice"が誕生。そのパイロット版の見せ方がオシャレでした。「グレイズ」最終話の1話前がいきなり2時間バージョンに。「最終話が2時間なら分かるけど、1話前に一体なぜ??」と思っていたところ、「グレイズ」のお話と絡みつつ、何の告知もないまま、別の話が始まったのでした。アディソンが休みを取って、カリフォルニアの友人のクリニックを訪れるという設定。友人ら数人が開いているそのクリニックは、不妊治療や自然派医療などをメインとしていて、アディソンはなんと人工授精を受けに行くんです。(アメリカは少子化の心配はないけど、キャリア女性の間では、日本と同様、不妊治療は大問題。)その2時間バージョンを見ながら、「何これ? なんで全然関係ない話が進行してるの? しかもこっち側の話のキャストも結構ゴージャスだし、どういうこと??」と思っている間に「あー、スピンオフかもーーー!!」と気づかされる、という趣向。来シーズンから、アディソンはこちらのクリニックに移るようです。「グレイズ」より少し上の年齢層向けで、恋愛模様・結婚模様を描く感じ。結構期待できそうですよ。

「ロスト」も、謎が続きすぎて視聴者離れが進んできたため、あと3シーズンでの終了が前もって発表されましたが(つまり、「じれったいだろうけど、それまでには謎が明かされるよ、待っててね」と期限を切ったいうこと。しかし3年後…。先は長い…。)、今シーズンの最終話では、みんなが島から救出されそうな前振りが。一旦島を出るけど、その後も島の謎が彼らにつきまとう…、みたいな。この辺で一度大転換しないと保たないんでしょうね。どう踏ん張るか、楽しみです。

他にも最近のヒット番組には、近々日本でも放送される「クリミナル・マインド FBI行動分析課」(「ふたりは最高!ダーマ&グレッグ」のトーマス・ギブソン主演、シリアスFBIドラマ)、"Ugly Betty"(ブスなベティ)が、トップモードのファッション出版社に就職、ハンサム編集長の秘書となり騒動が巻き起こるコメディ。オリジナルの南米版は日本で既に放送中。)、"Heroes"(超常能力を持った若者達が、悪者から世界を救うアメコミ風SFドラマ。東京出身のオタク、ヒロ役の日系人俳優が怪しげな日本語を操りつつ人気者に。)などなど。ちょっと前まで、リアリティ・ショーに押されドラマがパッとしなかったけど、最近次々ヒットが生まれて、日本語版業界にいる翻訳者としては、よかった、よかった、ですよね。とはいえ本当の「視聴率断トツ1位」は、オーディション番組「アメリカン・アイドル」なんですけど《笑》。ヒットドラマもまったく足下にも及ばない状況。でも最近は、日本でもこの手のリアリティ・ショーが放送されるようになってるからよしとするか。リアリティ・ショーの翻訳は、ドラマより更にナチュラルな日本語が要求されるし、何と言っても喋りは多いし《涙》、翻訳者も頑張らないと!ですね。

では今回はこの辺で。また次回をお楽しみに!